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【ジャガー・マークX】ジャガー史上最大の車

ジャガー・マークXの概要

ジャガー・マークXは1961年に発表され、1970年まで販売された4ドアの大型高級セダンです。1966年には420Gと名称変更され、トータル販売台数は18,519台になりました。本国イギリスでも、最大の輸出相手国アメリカでもプレスの称賛を得ましたが、ジャガー社の目指した販売台数には届きませんでした。

ジャガー・マークXが発表された1961年は、伝説のモデル、ジャガー・Eタイプが発表された年でもあります。ジャガー・マークXはEタイプ同様、3.8LのXKエンジンとトリプルキャブレターを採用し、トップスピードは時速185km。当時ライバルとも言われたロールス・ロイスの代表的なモデル、シルバークラウドのおよそ半分の値段設定がされていました。

マークXはまた、XK120に始まりCタイプ、Dタイプ、マーク1、マーク2まで引き継がれてきたジャガー社モデルの優雅で俊敏、ライトウェイトという特徴から、優雅さはそのままに、大型で広い室内を持つという価値を打ち出した初めてのモデルであるという観点から、歴史的に重要なモデルでありと言えます。開発中のコードネームはZenithというもので、これは「頂点」を意味します。

ジャガー・マークXの特徴はまずそのサイズで、2003年にジャガー・XJ220が発売されるまで、ジャガー社のモデルの中で最大のものでした。主にアメリカの州知事や外交官、映画スターをターゲットとし、現代的で革新的なデザインを売りとしました。フロントの、通常は垂直でグリルが配されている面を斜め下に向かわせるデザイン—サメに似ているとも言われる—と、横一列に並ぶ4つのヘッドライトは、マークXの後、代々のモデルに引き継がれ、ジャガー社のアイコン的な存在となっています。

ジャガー・マークXはまた、ジャガー社のエンジニア、ウィリアム・ヘインズにより開発された独立リアサスペンションを採用した初めてのモデルでもあります。ブレーキは四輪ともにサーボアシスト・ディスク・ブレーキを採用、パワーアシストを標準装備としていました。

トランスミッションには3つのオプションがありました。3速オートマチック、4速マニュアル、オーバードライブ付き4速マニュアルの3つです。

1962年には、コーギー・クラシックというイギリスのミニカーブランドからジャガー・マークXのミニカーが発売され、110万台以上を売り上げました。これは、コーギー・クラシック社で過去最高の売り上げを記録したモデルです。現在でもオリジナルの箱が保存されていて状態が良い個体であれば150ポンド以上、日本円で3万円ほどで取引されています。同社はそれまでも、テレビシリーズに登場したモデルのミニカーを発売、注目が集まっていました。しかしジャガー・マークXのミニカーほど多くのカラー展開がされたモデルはありません。

マークX時代のイギリス自動車産業界

ジャガー・マークXが発売された1960年代、イギリスの自動車産業界は順調とは言えない状況に置かれていました。戦後、大きな発展を見せたアメリカ資本の自動車産業界のあおりを受け、またアメリカの排ガス規制強化に対応するための技術開発の遅れにより、イギリスの自動車産業界の業績は急激に悪化。

1966年、ジャガー社は1952年にオースティン社とナッツフィールド社が合併して誕生したBMC(ブリティッシュ・モーター・カンパニー)と合併し、BMH(ブリティッシュ・モーター・ホールディングス)となりました。同年、ジャガー・マークXが420Gと名称変更した背景には、この合併がありました。

さらにBMHは1968年、ローバーグループと合併、BLMC(ブリティッシュ・レイランド・モーター・コーポレーション)になります。この大合併劇の目的は、アメリカ資本の自動車メーカーからイギリスの自動車産業を守ることにありました。結果的にはブランド戦略が混乱をきたし、またバッジエンジニアリングの多発が発生するなど、さらなる業績悪化につながりました。

ジャガー・マークXのエクステリア、インテリア

ジャガー社に代々引き継がれる伝統のように見え、優美さと落ち着きを同時に感じさせ格調のあるデザインは、ジャガー・マークXから始まったものです。イギリスの古き良き時代のラグジュラリーなクラシックカーと聞いて想起されるイメージに最も当てはまるモデルがジャガー・マークXであると言っても過言ではないでしょう。豪華でありながらも、落ち着いた雰囲気と同時に知性や繊細さを醸し出す内装。

やや大きめのヘッドライトが外側に2つ、その内側に少し小さいサイズのヘッドライトが2つ配され、それら計4つが横一列に並んでいるジャガーならではのデザインは、マークXで最初に採用されました。1956年発売のジャガー・マーク1や2のヘッドライトも4つですが、いずれも横一列の並びとはなっていません。

ジャガー・マークXは、インテリアに美しいウォールナット材がふんだんに用いられた最後のモデルになりました。48ピースものウォールナット製パーツで構成された室内は、ダッシュボードに始まりピラーから窓枠にまで及びます。後部座席には、飛行機の折りたたみ式テーブルに似たピクニック・テーブルが付属し、小さな鏡と灰皿も完備されていました。ピクニック・テーブルはライバルとされたロールス・ロイスにも同様に採用されています。

ジャガー・マークXのラインナップ

ジャガー・マークXのラインナップは2つ。1961年発表の3.8Lと、1964年に登場した4.2Lです。ジャガー・マークX3.8Lモデルのエンジンは、ジャガー・Eタイプに採用されたエンジンと同じタイプです。トリプル・キャブレター6気筒直列エンジンは強力なパワーがあり、防弾であることでも知られます。1961年当時のラグジュアリーカーとしては十二分と言える250hpを出力、0-100km加速9.8秒、最高速度が185km。これは1948年に発売された当時最速のスポーツカー、ジャガー・XK120と同等のスピードです。

ジャガー・マークX4.2Lモデルは、1964年のロンドン・モーターショーで発表されました。ジャガー・マークXは2年後の1966年にジャガー・420Gと名称変更しましたが、このネーミングはエンジンの排気量から来ています。4.2Lエンジンの最高馬力は265hpに上昇。0-60km加速は3.8Lモデルより1.2秒速い9.3秒、最高速度は196km/時です。さらに、この頃のイギリスで生産されたラグジュアリーカーには珍しい、独立したリアのサスペンションが、素晴らしい操作性を生み出しています。

1966年、BMCとの合併を機に名称が変わり、ロンドン・モーターショーでジャガー・420Gとして発表されます。マークXからの主な変更点は、フロントのボンネット中央を縦に走るクローム製のラインが追加されたことです。

スペック詳細

ジャガー・マークX3.8Lのスペック詳細

エンジン:3,781cc直列6気筒DOHC
最高出力:265 hp / 5,500 rpm
最大トルク:260 ft-lb / 4,000rpm
最高速度: 185km / h
0−100km/h加速:9.8秒
ボディサイズ:全長 5,144mm、 全幅 1,943mm、 全高 1,391mm
車両重量: 1,791kg
駆動方式:FR
トランスミッション:4速MT
乗車定員:4-5人
新車時車両価格:-

ジャガー・マークX4.2Lのスペック詳細

エンジン:4,235cc直列6気筒DOHC
最高出力:265 hp / 5,400 rpm
最大トルク:283 ft-lb / 4,000rpm
最高速度: 205km / h
0−100km/h加速:9.1秒
ボディサイズ:全長 5,144mm、 全幅 1,943mm、 全高 1,391mm
車両重量: 1,791kg
駆動方式:FR
トランスミッション:4速MT
乗車定員:4-5人
新車時車両価格:-

ジャガー・マークX

出典:wikipedia

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