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【ロータス・エクラ】エリートとエクセルの兄弟車

ロータス・エクラの概要

ロータス・エクラ
出典:wikipedia

ロータス・エクラは1975年10月、ロンドンのアールズコートで開催されたモーターショーで発表されました。先代にあたる2代目ロータス・エリートと第2ピラーまでのデザインを共通としています。リア部分は後述するファストバックと呼ばれるデザインで、4人乗りだったエリートとは異なり、2+2のスポーツカーです。

ロータス・エクラには1975年発表のシリーズ1と、1980年発表のシリーズ2が存在し、さらに1982年にはロータス・エクセルと呼ばれるモデルが登場しました。

ロータス・エクラでは先代モデルのエリートと同様、ラグジュアリーな装備が採用されています。スチール製のシャーシやFRP製のボディ、フロントをディスク方式、リアをドラム方式とするブレーキ、サスペンションも同様に、ロータス・エリートから引き継がれたものです。

1966年発売のロータス・ヨーロッパと、ヨーロッパの後継車で1976年に発表されたロータス・エスプリにはミッドシップエンジンが採用されましたが、エクラはフロントシップエンジン、後輪駆動となっています。

▼ロータス・エクラ・シリーズ1、2

ロータス・エクラ・シリーズ1の初期モデルには、1,973cc直列4気筒DOHCロータス907エンジンを搭載、フォード製4速ギアボックスもしくはロータス・オースティンマキシに採用されていた5速ギアボックスが選べました。

ギアボックスは後に、2018年にマグナ・パワートレイン社に買収されたゲトラグ社製の5速となり、3速オートマティックボックスがオプションとされました。オプションとしてはその他に、エアコンとパワステの用意がされています。

ロータス・エクラ・シリーズ1のグレードは次の通りです。

・520:ベースモデル。フォード製4速ギアボックス、スチール製ホイール、小型ブレーキを装備。

・521:5速ギアボックス、スチール製ホイール、小型ブレーキを装備。

・522:521の装備に、エアコンをプラス。一部、ラジオ付きの個体も存在。

・523:オートマティックモデル

ロータス・エクラ・シリーズ2には、2,174ccのロータス912型エンジンが搭載されました。エンジンの排気量が拡大したにも関わらず、排ガス規制が強化されたため、エンジンの最大出力はシリーズ1と同様のままでした。

ロータス・エクラ・シリーズ1(タイプナンバー76)の総生産台数は1,957台、シリーズ2(タイプナンバー84)が223台とされています。

ロータスエンジン900シリーズ

ロータス・エクラ・シリーズ1、2にはそれぞれ、ロータス・エンジン900シリーズの907型、912型が搭載されています。ここでは、ロータス・エンジン900シリーズについてご紹介しましょう。

ロータスエンジン900シリーズは、ロータス社が初めて自社開発したエンジンシリーズです。1972年から1999年の間に製造されたICE(インターナル・コンバッション・エンジン)で、1962年に開発されたロータス・フォード・ツインカムエンジンの後継にあたります。

ロータスエンジン900シリーズは、アルミ製の4シリンダーDOHCエンジンで、最大出力は140hpから350hp、最大トルクは140 lb⋅ftから295 lb⋅ftです。タイプナンバー904、905、906、907、908、909、910、911、912、918、920が存在しました。

1964年の初め、ロータスのオーナー、コーリン・チャップマンはロータス・フォード・ツインカムエンジンに代わる新しいエンジンを作りたいと考えるようになりました。彼が望んだのは、高性能で柔軟性に富み、人の手による組み立てに適したエンジンでした。

当時、市場で手に入る既存のエンジンにはコーリン・チャップマンが思い描くスペックを満たすエンジンが存在しませんでした。そこでチャップマンは外部のコンサルタントに依頼し、新しいエンジンが備えるべき性能を検討しました。

検討の結果、ロータス社内で新しいエンジンの要件定義が進み、パワートレイン部門のトップ、スティーブ・サンヴィルと元エンジンメーカー勤務のロン・バーの指導により、デザインが詰められていきました。しかし、ロータス社は当時、工場移転の最中で、限られたリソースでのエンジン開発は難局に直面します。

そんな中、1967年に開催されたモーターショーで、コーリン・チャップマンはイギリスの自動車メーカー、ボクスホールが発表したヴィクターFDと出会いました。ヴィクターFDに搭載されたエンジン、ボクスホール・スラント4の詳細を知ったチャップマンは、ロータス社内で開発を進めているエンジンと、ボクスホール・スラント4が多くの共通点を持つことに思い至ります。

ショーの後、ボクスホール社エンジニア部門のディレクターと話し合いの場を持ったチャップマンは、完成したエンジンとエンジンブロックの購入で合意します。

その後ロータス社では、ボクスホール社のエンジンブロックを用いて試作品のテストを繰り返し、誕生したのがロータスエンジン 900シリーズです。ロータスエンジン 900シリーズが、ボクスホール社のエンジンをベースにしているとの説もあるようですがロータスエンジン 900シリーズが、ロータス社のオリジナルエンジンであることは間違いありません。

ファストバックとは

ロータス・エクラのフロント部分は、先代車ロータス・エリートと共通のデザインですが、リア部分のデザインはファストバックと呼ばれます。ファストバックは、車のルーフからリアの後端までが滑らかなラインでつながっており、段差のないフォルムをいいます。クーペモデルに多くみられますが、セダンにも存在しない訳ではありません。

ファストバックのデザインで知られるのは、ポルシェ・911の他、フォード・マスタング、ジャガー・Eタイプ、シボレー・フリートライン、フォルクスワーゲン・初代ビートルなどのモデルです。

ファストバックのデザインが誕生したのは1930年のことでした。当時、ボディの凹凸をなくすことを目指していた自動車業界では、航空力学にヒントを得ようとしていました。ファストバックという言葉が登場する前には、「ティアドロップ」と呼ばれる流線型のモデルが多く見られました。

ファストバックと似た言葉に、ハッチバックがあります。ファストバックとハッチバックはどう違うのでしょうか。

ハッチバックは、リアのトランク部分が跳ね上げ式、もしくは横開き式のバックドアを持つモデルを指します。従って、ファストバックのモデルに、トランクが跳ね上げ式のドアが採用されていれば、ハッチバックと呼ばれることもあります。

ただしハッチバックは2ボックス車を意味しますので、ファストバックとハッチバックとは言葉が似ているとは言え、前者は車のデザイン、後者はカテゴリーを表す次元の異なる言葉と言えますね。

スペック詳細

ロータス・エクラのスペック詳細

エンジン:1,973cc直列4気筒DOHC
最高出力:160 hp / 6,200 rpm
最大トルク:140 ft-lb / 4,900rpm
最高速度: 200km / h
0−100km/h加速:8.0秒
ボディサイズ:全長 4,458mm、 全幅 1,816mm、 全高 1,194mm
車両重量: 1,055kg
駆動方式:FR
トランスミッション:5速MT
乗車定員:2+2人
新車時車両価格:-

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