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【ロータス・エリート】50年代に空気抵抗係数0.29を実現した市販車モデル

ロータス・エリートの概要

ロータス・エリートには、3つのモデルが存在します。1957年にロンドンのモーターショーで発表された初代モデルと、1974年に発表された2代目モデル、さらに2010年にパリのモーターショーで発表されたコンセプトカーです。

ロータス・エリートの初代モデルはタイプ14とも呼ばれ、エンツォ・フェラーリが「世界で最も美しい」としたジャガー・Eタイプを彷彿とさせる流線型の美しいボディを誇るクーペです。

一方、ロータス・エリートの2代目はワゴン型で、初代モデルの外観とは大きく異なります。全体的に直線が目立つデザインで、特にボンネットに並ぶフロントグリルと台形のリアウィンドウが印象的です。

2010年にパリのモーターショーで発表されたコンセプトカーは、トヨタ製V型8気筒エンジンを搭載し、最高速度は315km/時、0-100km/時加速3.5〜3.7秒が期待されていました。ボディスタイルは初代エリート同様、ライトウェイトの2ドア、2+2シータで2014年の発売予定でした。

しかし2012年、ロータスがマレーシアの複合企業DRB-ハイコムに買収され、経費削減のため、残念ながらロータス・エリートのコンセプトカーの製造は中止となりました。

初代ロータス・エリート

ロータス・エリートの初代モデルは、レーシングカーであるロータス・セブンとともに、1957年のロンドン・モーターショーで発表されました。

ロータス・セブンは、軽さを追求した超ライトウェイト・オープンスポーツカーですが、ロータス・エリートはフィックスド・ヘッドクーペで、シャーシ構造から異なる別モデルです。

ロータスの創業者であるコリン・チャップマンが、国際的なレースへの参戦と市販車の製造販売を目指した結果、セブンとエリートが同時に発表されることになりました。

ロータス初の量産車であった初代エリートは、過大なオイル消費量と未完成な設計により頻繁なメンテナンスが必要とされ、市場からの評価は散々なものでした。

その結果、1963年までの総生産台数は諸説ありますが、1,000台前後と言われています。

ロータス・エリートの特徴の一つは、モノコックボディにFRP製のボディを組み合わせたボディ構造です。流線型のボディは空気力学を応用して生み出され、空気抵抗係数0.29を実現しています。

空気抵抗係数は、空気がどのくらいスムーズに流れるかを表す数値です。数値が小さいほど、空気の抵抗が小さく、現代の乗用車であれば0.3前後であるとされています。係数を算出するために車体に風を吹きかけて測定が行われ、これを空洞実験と呼びます。

初代ロータス・エリートのデザイナー、フランク・コスティン

初代ロータス・エリートのデザインは、フランク・コスティンの手によるものでした。フランク・コスティンは1920年生まれの自動車エンジニアで、航空力学が専門です。

フランク・コスティンは、第二次世界大戦中に木製の戦闘機、デ・ハビランド・モスキートを手がけました。彼が後に木製シャーシのモデルをデザインしたのは、この時の経験によるものです。

鉄鋼製シャーシに強力なエンジンを搭載するのではなく、木製シャーシで超軽量化を図ったボディに、小さなエンジンを組み合わせてスピードを追求するのがフランク・コスティンの思想でした。

戦後、引き続きイギリスの航空機製造会社デ・ハビランドで働いていた彼は、ロータス社の社員であった弟マイク・コスティンに誘われロータス・マーク8など、ロータス社の初期のモデルのデザインを手がけました。この時、弟マイクがフランク・コスティンに、航空力学の理論をレーシングカーのデザインに応用するよう持ちかけたことで、フランクの気持ちが動いたと言われています。

フランク・コスティンの代表的な作品には、初代エリートの他に、流線型のボディが特徴的なロータス・イレブンがあります。

2代目ロータス・エリート

2代目ロータス・エリートのが発表されたのは1974年5月、初代モデルが生産を終了して11年後のことでした。2代目ロータス・エリートは、ロータス・エラン プラス2の後継と位置付けられています。

2代目ロータス・エリートは、初代より長さ749mm、幅311mm、高さ28mm以上大きくなり、総重量は初代モデルが585kgだったのに対し、2代目では1,000kgオーバーとなり、ほぼ2倍の重量となりました。

流線型だった初代モデルに取って代わって、シューティングブレークと呼ばれる、クーペとワゴンを足して2で割ったようなデザインとなりました。ハッチバックよりもスリムでエレガントであるとされます。

外観の特徴はその他、リトラクタブル・ヘッドライトが挙げられます。2ドアの4シータで、1970ccロータス・エンジンを搭載しました。

2代目ロータス・エリートは4つのグレードに分かれています。

501:ベースモデル。

502:501の装備にエアコンが追加。

503:501の装備にエアコンとパワステが追加。

504:501の装備にエアコン、パワステ、が追加。AT仕様。

2代目エリートのデザイナー、オリバー・ウィンターボトム

ロータス・エリートの2代目をデザインしたのは、自動車エンジニアのオリバー・ウィンターボトムです。オリバー・ウィンターボトムは1961年、ジャガー社で見習いとしてキャリアをスタートさせました。

ジャガー社では、ジャガー・XJS、Eタイプをはじめ、数多くのモデルの開発にデザイナーとして携わりました。その後、1971年にデザイン・マネージャーとしてロータス・カーズに入社します。

ロータス・カーズでは2代目ロータス・エリートの他、1975年発売のロータス・エクラ、ヨーロッパ、エスプリ等を手がけました。その後、TVR社が1980年に発売したTVR・タスミンのデザインに携わっています。

TVRの後はロータスに戻り、トヨタ社とロータス社のジョイントプロジェクトを率いた後、アメリカに渡り、ゼネラルモーターズのプロジェクト・マネージャーを努めました。

イギリスへの帰国後は再びロータスに戻り、エンジニアリングと自動車の安全についての指導を行い、2009年にリタイアしています。

スペック詳細

初代ロータス・エリート1962年モデルのスペック詳細

エンジン:1,216cc直列4気筒OHC
最高出力:82 hp / 6,250 rpm
最大トルク:75 ft-lb / 3,750rpm
最高速度: 190km / h
0−100km/h加速:11.1秒
ボディサイズ:全長 3,708mm、 全幅 1,505mm、 全高 1,181mm
車両重量: 660kg
駆動方式:FR
トランスミッション:4速MT
乗車定員:2人
新車時車両価格:-

2代目ロータス・エリート503モデルのスペック詳細

エンジン:1,969cc直列4気筒DOHC
最高出力:154 hp / 6,200 rpm
最大トルク:140 ft-lb / 4,900rpm
最高速度: 212km / h
0−100km/h加速:8.2秒
ボディサイズ:全長 4,457mm、 全幅 1,816mm、 全高 1,209mm
車両重量: 1,110kg
駆動方式:FR
トランスミッション:5速MT
乗車定員:4人
新車時車両価格:-

ロータス・エリート
出典:wikipedia

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