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【ジャガー・MK1、MK2】イギリス警察に支持された車

ジャガー・MK1

ジャガー・MK1は1955年、アールズコートのモーターショーで発表されました。ジャガー社としては、1949年に販売を終了した1 1/2Lサルーン以来のコンパクトサルーンです。大ヒットとなったスポーツカー、ジャガー・XK120と、大型サルーンであるジャガー・MK V、MK Ⅶのターゲットとなり得なかった、ファミリー層などを対象に開発されました。日本では5ナンバーに該当するサイズです。

ジャガー社としては初めてモノコックボディを採用し、発表後すぐに大人気となったモデルで、デザイン、製造方法ともに、これ以降のジャガー社の全車種に影響を与えた重要な一台です。

外観上の特徴は、強度を保つための太めのピラー。内装にはレザーシートとウッドパネルが採用され、大型サルーンに見劣りしない豪華なインテリアが楽しめます。当初はショートストローク化した2.4LのXKエンジンが搭載されました。
1957年には3.4Lバージョンが登場。最高速度193km/時、最高出力210hp/5,500rpmを実現しました。オプションで3速ATが用意されており、フロントにベンチシートが採用されています。

2.4Lモデルは19,992台、3.4Lモデルは17,405台が生産されました。

ジャガー・MK2

ジャガー・MK2の発売は1959年です。1967年までの18年間で83,976台を売り上げる大ヒットとなりました。発売時、ミスター・ライオンズことウィリアム・ライオンズ氏が考えたキャッチコピーは「優雅さ、広さ、速さを高度に実現した車」というものでした。ジャガー・MK2には、2.4Lモデルと3.4Lモデル、さらに3.8Lモデル、合計3つのラインナップが用意されました。1967年までに2.4Lモデルが25,173台、3.4Lモデルが28,666台、3.8Lモデルは30,141台が生産されています。

ジャガー・MK2のボディの特徴は大きく2つ。1つ目は、窓の面積が18パーセント広がったことにより、室内が明るく、視界が広がったことです。2つ目はサイドの窓枠がMK1と比べて細く、クローム製になったことが挙げられます。その他、細かくはサイドランプ、テールランプ、フォグランプの位置が変更を受けています。

メカニカル的には、ディスク・ブレーキが標準装備となり、パワーステアリング、オートマ車のオプションがありました。

MK2の3.8Lモデルは最高速度が201km、0-100km/時加速が9.5秒と敏速で、同時に大人5人が乗るのに十分なスペースの余裕があります。この特長が買われ、イギリス警察が1959年に開通した高速道路でのパトロール車として採用し、また、犯罪の逃亡車として使われることもありました。さらに、映画の逃亡シーンでも多く活躍しています。

MK2の3.8Lモデルは、1967年秋に生産終了となり、ジャガー・340にバトンタッチしました。2.4Lモデルは1969年まで生産され、ジャガー・240を後継とします。

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イギリス初の高速道路M1

ジャガー・MK2の発売と同じ1959年11月、イギリスで初めての高速道路、M1がオープンしました。現在の高速道路の全長はロンドンと、ロンドンの北約270kmに位置するリーズと呼ばれる町を結ぶ311kmほどの長さがあります。1959年に開通したのは、その一部、ロンドンの北西約24kmにあるワットフォードからクリックという村まで、およそ117kmの区間です。

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ジャガー社の新しい工場、ブラウンズレーン・プラント

ジャガー社は、MK1発表の1955年から遡ること4年前の1951年、コベントリーのブラウンズレーンに拠点を移すことになりました。ジャガー・XK120やマークⅦへの高まる人気に需要が急増し、生産ラインの増加が必要となったのがその理由です。ブラウンズレーン・プラントの敷地面積は9万㎡以上ありました。

5月に移転作業を始めたものの、引越し作業は1年以上にわたり、完了したのは翌1952年11月のことでした。メカニカル部門からスタートし、最後にペイント部門が移動。地域で所有する全てのトラックを借り出すような、大移動でした。ジャガー社にとってこの引越しは、1928年、手狭になったブラックプール の工場からコベントリーのホルブルックに移動してきて23年目、2度目のことです。

ブラウンズレーン・プラントでは、2005年までの54年間、MK1やMK2をはじめ、ジャガー社が販売した数多くのモデルが生産されました。現在、工場は取り壊され、住宅やホテルになっています。

ブラウンズレーン・プラントは第二次世界大戦中、ダイムラー社によって運営され、早急に必要とされた戦闘機の需要を満たす目的で建造された工場です。主に軍用機に搭載されるエンジンと組み立て部品が製造されました。戦後、不要となった工場をジャガー社がリースすることに合意しました。

引越しから5年後の1957年には、大火事が発生、生産中のモデル270台を消失するという事件が起こっています。

ディムラー 2.5V8、 V8-250

1962年には、ディムラー社の2.5L V型8気筒OHVエンジンを搭載した、ディムラー2.5L V8が生産されました。1960年にジャガーがディムラーを買収したことによります。最大出力は142hp。1967年になるとモデルチェンジにより、ディムラー V8-250となります。MK2に搭載されたXK6エンジンをしのぐパワーをもち、よりモダンなディムラー製のエンジンは小型で軽量であるという特徴を備えていました。

ディムラー製のエンジンを積んだ2.5V8、 V8-250は共に、フロントグリルの上部分が波状になっていることでMK2と識別できます。また内装はジャガー・MK2とは異なるディムラー専用の仕様が提供されました。

ジャガー・240、340

1967年の9月頃、MK2の3.8Lモデルの生産が中止されます。同じタイミングでMK2の2.4Lモデルはジャガー240、3.4Lモデルはジャガー340と名称変更されました。ジャガー340は1968年には生産中止となりますが、ジャガー240は1969年4月まで生産されました。ジャガー240の生産台数は4,446台、ジャガー340は2,788台です。

ジャガー240は最大出力120hp/5,750と、MK2に比べて、パフォーマンスの面では向上がみられました。MK2との違いはバンパーが細くなっている点と、インテリアから豪華さが失われた点です。具体的には、内装に使われていたレザーが姿を消し、レザーを模した合成皮革が採用されました。1960年代の半ば頃のジャガー社は経営が苦しく、コストダウンを余儀なくされたことがその理由です。

1920年代の創業以来、英国の自動車産業界をリードし続けたジャガー社の黄金期が終わりに近づいていました。

スペック詳細

ジャガー・MK1 3.4Lのスペック詳細

エンジン:3,442cc直列6気筒DOHC XK
最高出力:207 hp / 5,500 rpm
最大トルク:217 ft-lb / 3,000rpm
最高速度: 193km / h
0−100km/h加速:9.4秒
ボディサイズ:全長 4,590mm、 全幅 1,690mm、 全高 1,430mm
車両重量: 1,370kg
駆動方式:FR
トランスミッション:4速MT
乗車定員:5人
新車時車両価格:-

ジャガー・MK2 3,4Lのスペック詳細

エンジン:3,442cc直列6気筒DOHC XK6
最高出力:210 hp / 5,500 rpm
最大トルク:216 ft-lb / 3,000rpm
最高速度: 195km / h
0−100km/h加速:9.9秒
ボディサイズ:全長 4,590mm、 全幅 1,700mm、 全高 1,460mm
車両重量: 1,460kg
駆動方式:FR
トランスミッション:4速MT
乗車定員:5人
新車時車両価格:-

ジャガー・MK2 3.8Lのスペック詳細

エンジン:3,781cc直列6気筒DOHC XK6
最高出力:220 hp / 5,500 rpm
最大トルク:240 ft-lb / 3,000rpm
最高速度: 200km / h
0−100km/h加速:9.5秒
ボディサイズ:全長 4,590mm、 全幅 1,700mm、 全高 1,460mm
車両重量: 1,460kg
駆動方式:FR
トランスミッション:4速MT
乗車定員:5人
新車時車両価格:-

ジャガーMK1・MK2
出典:wikipedia

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