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【TVR タスカンV8・V6】5年間の製造販売数トー タル173台の幻のイギリス車

1967年から1971年にブラックプールの工場にて生産されたクーペ

TVR社の始まりは、1946年にトレバー・ウィルキンソンが車輪修理工の工房を買い取って始めたイングランド・ブラックプールの修理工場、トレバーモータースです。ブラックプールはロンドンの北西約250kmの場所に位置し、アイリッシュ海に面するイギリス最大の保養地として知られます。また、ジャガーの前身、スワロー・サイドカー・カンパニーが創業したのも、同じブラックプールでした。

トレバーモータースは、翌1947年にジャック・ピッカードを一人目の社員として雇用したのとタイミングを同じくして、TVRと社名を変更します。これは、トレバー・ウィルキンソン(TrevorWilkinson)の名前の子音から取られたものです。当初、トラック修理をメインに収益を得ていたTVRですが、1949年にシャーシーの製作に着手、手探りで車作りを続け、1958年にはTVR初の市販車グランチュラの製造に成功、100台を販売しました。
続いて1963年、グリフィスを発表した後に経営が悪化し、1965年にアーサー・リリー、マーティン・リリー親子の手に渡ります。TVR のオーナーは何度も交代を繰り返しますが、タスカンが製造されたのは、この二代目オーナー時代(1965年〜1981年)のうち、1967年から1971年の5年間です。リリー時代になってからのTVR はまず、グランチュラⅣ1800Sを発売、その後タスカンV8、タスカンV6に続き、ビクセン、Mシリーズを製造販売し、確実に成長を遂げました。

TVRグランチュラから引き継いだ鋼管フレームにFRPボディ


出典:wikipedia TVR Tuscan(1967)

1967年、フォードV8エンジンを積んだ最初のタスカンV8 SWB(Short Wheel Base)が製造されます。グランチュラから引き継いだチューブラーフレームはモノコックに勝る強度と剛性、軽量でスペースを取らないなど数多くの利点を持ち、TVR車の超軽量ボディを実現しています。ブレーキはフロント、リア共にディスクブレーキを採用。1970年に製造終了するまでの総製造台数は24台、うちほとんどがアメリカで販売され、本国イギリス向けに右ハンドル仕様で作られたのはほんの僅かでした。

ここで、TVRタスカンのラインナップをご紹介します。

タスカンのラインナップについては諸説ありますが、この記事ではシャーシに記載されたナンバーによる分け方ではなく、ホイールベースを元にしたモデルによるラインナップをご紹介します。また、右の数字はそれぞれ製造台数を表しますが、製造台数についてもいくつかの説があることを付記します。この記事の執筆にあたり、TVR社に正確なモデルと製造販売台数について問い合わせましたが、残念ながら返信はありませんでした。
・TVR Tuscan V8 SWB – 24 
・TVR Tuscan V8 LWB  – 26
・TVR Tuscan V8 LWB SE – 22
・TVR Tuscan V6 – 101 
SWB:ショートホイールベース(Short Wheel Base)
LWB:ロングホイールベース(Long Wheel Base)
SE:スペシャルエディション(Special Edition)

TVRタスカンは、グリフィスの後継車

タスカンの前身、グリフィスはアメリカのグリフィス・モータースで製作されたグランチュラ・マーク3のシャーシにフォードV8OHVを組み合わせたもので、最高速度225km/hの性能を持っていました。しかしモデルチェンジ後も操作性が安定せず、結局2年を待たずに1967年に生産終了となりました。
1967年、初期フォードにも見られるエンジンを積んだ最初のタスカンV8 SWBに少し遅れて、さらにパワフルなV8 LWBが製造されます。V8 LWBは、最高出力271PS/6,000rpmを誇り、1968年に製造を開始したビクセンS2と同じロングホイールベースを採用。しかしV8 LWBは、品質と信頼性に問題があるとの評判により、このモデルも1年に満たず製造中止となっています。1970年に登場したV8 LWB SEは続くTVRのMシリーズの車体のベースになるデザインで、V8LWBよりも車体がさらに広く、4.9LのV8エンジンを搭載、幅広で内側に膨らんだような形状のリアのラインが特徴的です。タスカンV6には、V8シリーズより更にパワーを与えるべく、フォードのゾディアックMK Ⅳや、1969年に製造開始されたフォードカプリに使用されたのと同じフォードエセックスV6OHVエンジンを積載。車体は狭く、後継となる4シリンダーのビクセンと共通のフレーム、シャーシが採用されました。

前後ともにディスクブレーキを用いたV8とは違い、V6はフロントにディスク、リアにはドラムブレーキを装備します。3.0L、144PS /5000rpmのエンジンを積んだV6は、ツインチョーク非同期ウェーバ38 /38DGASキャブレターにより、最高速度209kmを実現。しかし当時、フォードエセックスV6はアメリカの排出基準を満たしていなかったため、タスカンV6が輸出されることはなく、製造された101台のほとんどがイギリス市場向けに右ハンドルで作られました。

TVRタスカン、Mシリーズに続く優雅なボディ


出典:wikipedia TVR Tuscan(1967)

グリフィスからの流れを汲んだのがタスカンSWBですが、デザインを語る上で特筆すべきは、両サイドが盛り上がり、うねるような独特のボンネットの形と一新されたインテリア、三角窓がなくなった点です。
1930年台に開発され、隙間風対策と外気の取り入れを可能にする実用性が評価された三角窓は、多くのメーカーで採用されました。その後時代の変化に伴って、デザインの流行が変わり、またベンチレーションシステムの向上や安全性への意識の高まりなどの理由により、1960年台以降はほとんど見られなくなりました。タスカンからV8で三角窓が取り除かれたのも、その流れに則ったものです。
1999年に発売され、日本でも2000年に販売開始した二代目タスカンが記憶に新しい方もいらっしゃるのではないでしょうか。何かとドラマティックなTVR社ですが、初代タスカン、イギリス車の伝統的な雰囲気を感じさせつつも、一度目にしたら忘れられない独特のデザインを併せ持ち、世界各地に熱狂的なファンがいるのもうなづけます。

TVR タスカンV8SWBのスペック詳細

エンジン:4.7L フォード289 V型8気筒OHV(289型)
最高出力:275PS/6,000rpm
最大トルク:314ft-lb/3,400rpm
最高速度:約258km /h
0−100km/h加速:5.4秒
ボディサイズ:全長 3,590mm 全幅 1,625mm 全高1,220mm ホイールベース 2,220mm
車両重量:965kg
駆動方式:FR
トランスミッション:4速MT
乗車定員:2人

TVR タスカンV8LWB SEのスペック詳細

エンジン:4.9L フォード289 V型8気筒OHV(302型)
最高出力:271PS/6,000rpm
最大トルク:314ft-lb/3,400rpm
最高速度:約270km /h
0−100km/h加速:5.4秒
ボディサイズ:全長 3,750mm 全幅 1,625mm 全高 1,220mm ホイールベース 2,286mm
車両重量:965kg
駆動方式:FR
トランスミッション:4速MT
乗車定員:2人

TVR タスカンV6のスペック詳細

エンジン:3.0L フォード製 V型6気筒エセックスOHV
最高出力:146ps/5,000rpm
最大トルク:192ft-lb/3,000rpm
最高速度:約209km/h
0−100km/h加速:8.0秒
ボディサイズ:全長 3,695mm 全幅 1,635mm 全高 1,219mm ホイールベース 2,286mm
車両重量:980kg
駆動方式:FR
トランスミッション:4速MT
乗車定員:2人

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