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【ジャガー・SS100】「ジャガー」の名を初めて冠したスポーツカー

ジャガー・SS100のラインナップ

優雅で華麗な英国製スポーツカーの一つとして世界に認められているジャガー・SS100 には1936年発表の2.5Lバージョン、1938年に追加された3.5Lバージョンの2種類のラインナップがあります。1931年のロンドンモーターショーで発表されたジャガー・SS1のシャーシをベースとした2シータ、ジャガー・SS90を前身とするSS100は、2,644ccOHV6気筒エンジンを搭載した2.5Lバージョンが198台、3.5Lバージョンが116台製造され、そのうち49台のみが輸出されました。輸出された49台のうち白い一台はスコットランド系アメリカ人でテレビホストのデイブ・ギャロウェイが所有していました。本国イギリスではマーガレット・サッチャー首相時代の議員、アラン・クラークが所有し、議会後に自ら運転して帰宅する姿が見られたそうです。

ウィリアム・ライオンズによりSS90のためにデザインされ、SS100にも受け継がれた優雅で曲線的なフェンダー、長大とも言える特徴的なボンネット、大型のヘッドライトはジャガーの象徴となりました。またネコ科ヒョウ属に分類されるジャガーが跳躍する姿を形取り、ボンネット中央前側で目を引く有名なアイコンが登場したのもSS100が初めてです。また飛行機に使われていたエンジン、「ジャガー」の名を車名に使用した最初のモデルでもありました。

ジャガー・SS100の2.5Lバージョンにはスタンダード・モーターカンパニー製2.5Lエンジンを改良したエンジンを搭載。サイドバルブがオーバーヘッドバルブに変換され、自動車エンジニアであるウィリアム・ヘインズ、シリンダーヘッドのスペシャリストであるハリー・ウェスレイクによりシリンダーヘッドが新たに開発されました。ツインSUキャブレターはシリンダーヘッドに直接ボルト留めされています。最高出力は105hpを記録したとされています。

3.5Lバージョンでは4速ギアボックスの2、3、4速にシンクロメッシュを採用、ブレーキはガーリング社製、総重量はわずか1,150kgでした。2.5Lバージョンと同様に、ハリー・ウェスレイクのアドバイスにより自動車エンジニア、ビリー・ヘインズのデザインによる全く新しいエンジンが採用されました。このエンジンは改良型のデュアル排気連結レイアウトの換気システムが採用され、最高出力125hpを記録しました。30冊を超す車関連書籍の著者であり、ジャガーへの深い造詣を持つことで知られるフィリップ・ポーターは次のように書いています。「SS100はジャガー社にとって初の正真正銘、素晴らしいスポーツカーであり、戦前のイギリス製スポーツカーの象徴として多くの人の心に残るであろう。ウィリアム・ライオンズの最も煌びやかな作品である美しく、流れるようなボディラインはスピードを予感させ、3.5Lバージョンはそれを形にした」。

1936年当時、2.5Lバージョンは395ポンド、2020年現在の28,000ポンド相当(370万円)、3.5Lバージョンは445ポンドで販売されました。しかし驚いたことに70年後の2007年のオークションでは19万9,500ポンド(約2千700万円)、2010年には66万6,270ポンド(約8千850万円)の値をつけました。そこからさらに値上がりが続き2020年現在、保存状態の良い個体は、その希少性のため70万ポンド、およそ9千300万円以上で取引されています。

日本では自動車好きで知られ、パリ・ダカールラリーにも出場したラリードライバーで俳優の夏木陽介氏も、自身と同じ年ということで1936年型のSS100を愛車としていました。

ジャガーの歴史

ジャガー・SS100は、当時コベントリーを拠点としていたSSカーズというメーカーから発売されました。SSカーズはもともと、イギリス、ブラックプールで偶然となりに住んでいた二人のウィリアムが出会ったことから始まります。自動車のセールスマンをしていたウィリアム・ライオンズは、サイドカーを作成して販売していたウィリアム・ウォルムズレーの八角流線型のサイドカーに魅せられます。

意気投合した二人は1913年、ライオンズの21歳の誕生日を待ってスワロー・サイドカー・カンパニーを設立。八角形の美しいサイドカーは人気を集め、1922年にはロンドンのモーターショーへの出展を果たします。さらに1927年、オースティン・セブンのシャーシに独自のボディを架装した自動車の製作を開始。続いてモーリス、スイフト、フィアットなどのシャーシにも手を広げ、やがてスワロー・サイドカー・アンド・コーチビルディング・カンパニーとして知られるようになりました。

1928年にはブラックプールからコベントリーに工場を移転、1929年にスタンダード・モーターカンパニーとエンジン、シャーシの購入契約を結びました。1931年、ロンドンモーターショーでSS1の発表となります。作製費用は310ポンドのみでしたが、1,000ポンドの車と比べても見劣りしない出来を誇りました。次いで小型モデルであるSS2を発売。この時、再び社名を変更し、SSカーズとなりました。SS1、SS2ともに2シータ・オープントップおよび4シータ・クローズドトップの両タイプが用意されます。創始者の一人であるウォルムズレーはここまでの成功に満足し、これ以上会社を大きくすることを希望していませんでした。結果的に会社設立から22年後の1935年、ウォルムズレーはSSカーズを去ることとなりました。

ジャガーを支え続けた人物:ハリー・ティーチャー

上記のように、ジャガーの創始者はウィリアム・ライオンズとウィリアム・ウォルムズレー、二人のウィリアムであると言えるでしょう。しかしここでは、1923年から1973年と50年以上の長きに渡ってジャガーを支え続け、最後は購買部門のディレクターを務めた人物、ハリー・ティーチャーの1930年代までの歩みをご紹介します。

ヘンリー・ティーチャーは14歳で学校を卒業して仕事を始めました。ブラックプールを拠点とする新聞社「ブラックプール・ガゼット」で働いていたヘンリーは、スワロー・サイドカー・カンパニーで働きたいと熱望していました。ある時、同社の人材募集を見つけた彼は早速応募し、めでたく採用が決まり開業6カ月、従業員8名の会社の一員として働き始めます。ウィリアム・ライオンズは当時の従業員について話す時「8人と少年」とコメントしましたが、その「少年」とはヘンリーのことでした。

ヘンリーは入社後あらゆる部門を経験しーそれはフレームワークからパネリング、トリミング、ウッドチューニング、フィッティング、塗装などを含みましたー特にボディのサイドにラインを描く仕事で、その才能を発揮しました。

次に彼はスペアパーツのパッキングと発送作業を担当します。この仕事が購買部門ディレクターとしての後のキャリアのベースとなりました。

1928年に会社がブラックプール からコベントリーに拠点を移す際には総責任者として、パーツや製品を失うことなく引っ越し作業を完了させる任務を任されました。翌1929年には店舗とパーツ購入の発注責任者に昇格します。そこからの数年は増え続ける受注に対応するため、従業員全員、1日の労働時間が12時間以上となることがしばしば起きるほどの忙しい日々が続きました。1930年代になると、さらに大きな責任を負うようになります。担当する仕事は製品の出庫管理、工場の安全管理、さらに増え続ける店舗と購買材料の管理までもが含まれました。

1931年に始まったイギリスの大恐慌時代は、SSカーズにとっては成長を続ける良い時代であった一方、一人の募集に大量の求職者が押しかけるなど、イギリスがいかに厳しい状況であったかを振り返った記録も残されています。1939年、第二次世界大戦が始まるとSS100の生産は中止となります。この時店舗と材料の管理を担っていたハリーは兵役を免除されました。

ハリー・ティーチャーのその後や、ジャガーの創始者であるウィリアム・ライオンズとウィリアム・ウォルムズレーについてはまた別記事でご紹介いたします。

スペック詳細

ジャガー・SS100のスペック詳細

エンジン:2,663cc直列6気筒OHV I6
最高出力:103 hp / 4,600 rpm
最大トルク:144ft-lb / 2,000 rpm
最高速度:153 km / h
0−100km/h加速:14秒
ボディサイズ:全長 3,886 mm、 全幅 1,600mm、 全高 1,372mm
車両重量: 1,150kg
駆動方式:FR
トランスミッション:4速MT
乗車定員:2人
・ 新車時車両価格:395ポンド

ジャガー・SS100のスペック詳細

エンジン:3,485cc直列6気筒OHV I6
最高出力:125 hp / 4,250 rpm
最大トルク:184 ft-lb / 2,000rpm
最高速度: 163km / h
0−100km/h加速:11秒
ボディサイズ:全長 3,890mm、 全幅 1,600mm、 全高 1,370mm
車両重量: 1,250kg
駆動方式:FR
トランスミッション:4速MT
乗車定員:2人
新車時車両価格:445ポンド

参考
1938 SS 100 Jaguar 3½-Litre Roadster | RM Sotheby’s
Aubergine Dream – 1936 Jaguar SS 100 | Hemmings
1936 Jaguar SS100 | Quarto Knows
Harry Teather | Jaguar Daimler Heritage Trust


引用:wikipedia

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