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想像をカタチにする。お洒落キャンパーがローバーミニを選んだ理由

なにかにのめり込む瞬間というのは、突然訪れるもの。計画したからといって、必ず好きになれるとは限らないし、計画しなくても好きになってしまうことがある。「まさか自分がこんな趣味を始めるなんて思ってもいなかった」というような経験がある人も多いのではないだろうか。ときには既存の趣味から派生して新しい趣味を見つけたりもする。この記事に登場する上田拳士さんも、そうやってクルマにたどり着いた。

もともとキャンプが趣味だった上田さんは、自分のキャンプスタイルにあったクルマを求めてローバーミニを購入した。2020年の10月9日に納車されたばかり。

彼が目指したスタイルとはどのようなモノなのだろう。キャンプ泊中の上田さんに、ローバーミニが選ばれた理由や、クルマとのエピソードを聞かせてもらった。

林に佇むローバーミニと、キャンプ好きの家族

焚き火が恋しくなる11月下旬の土曜日。前日の雨を受けてコントラストが強まった本栖湖の松林に、その濃い緑と対照的な乳白色のローバーミニが佇んでいた。

クルマの向こうには2張のテント。その前方には、焚き火を囲む3人組の姿がある。
アウトドアシーンであまり見かけない個性的なオーラに引き寄せられるのか、クルマの前で足を止めて眺める人もみられた。

この日キャンプ場の注目の的となったクルマのオーナーは、新潟市に住む20代の上田拳士さん。9休日はローバーミニと一緒にキャンプに出かけているという噂を聞きつけ、取材チームも同行させてもらった。

前日には、クルマの点検のために、新潟市からClassca Factoryがある焼津へと赴いていたそう。その足で富士山麓の本栖湖キャンプ場へと到来。2日間で600km近いドライブを経たというのだ。

現行のクルマとは違って振動の多いローバーミニで長時間のドライブをするのは体力が必要そうだが、「全然平気ですよ」と、疲れの色をまったく見せない。

「寒いですから、ここでくつろいでください」と、焚き火を囲む椅子を勧めてくれた。焚き火の周りには、上田さんの野営グッズが粗放に置かれている。ブッシュクラフトナイフやハンドアックスなど、ワイルドなアイテムの数々。とてもこだわりが詰まっていそうだ。

タープの中を覗かせてもらうと、直に置かれたコットと、その上に敷かれたラグがまず目に飛び込んでくる。プリミティブな要素を交えつつも上品な印象の模様が印象的だ。枕元にはトヨトミ レインボーの石油ストーブに、ラフロイグの瓶もある。キャンプの夜を楽しむのに必要なアイテムが漏れなく揃っているようだ。

センス抜群のスタイリングで周囲のキャンパーを圧倒している上田さんだが、自身がキャンプをはじめたのはつい最近のことだそう。

上田「去年の夏くらいですね。『ゆるキャン』というアニメを見たことがきっかけでした。女子高生が部活動でキャンプをするという物語なのですが、キャンプシーンを見るたびに、自分もやりたい!という気持ちが強まっていって。アウトドアにくわしい会社の先輩に話をしてみたんです。いろいろ必要な道具を教えてもらって、できるだけ自分の理想に近いものを買い集めました」

上田「いざソロキャンをやってみようと思った時、家族も一緒にいきたいと言ってくれたんです。それから、母と祖母と僕の3人でキャンプをすることが増えましたね」

この日も、ご家族がキャンプに同行していた。取材中、テントの中で盛り付けていたのはトマトのカプレーゼ。

焚き火で焼いたピザは、生地からすべて手作りだという。「どうぞ食べてください」と、快く振る舞ってくれた。ホクホクの生地とジューシーな具材が、冷え切った胃袋に染み渡る。火加減の難しい焚き火でこのクオリティが出せるのかと驚く。3人でキャンプにくるたびに、新しいメニューに挑戦しているのだそう。

焚き火と共に贅沢な時間を過ごす

ピザを食べた後、上田さんはクルマから道具箱を取り出して、手際良くコーヒー豆を挽き始めた。

上田「コーヒーは毎朝の楽しみですよね。以前はペーパーフィルターでやっていたのですが、もったいないなという気持ちになり、ネルドリップに切り替えたんです。洗えば何度でも使えるので気に入っています」

丁寧に落とされていくコーヒーの音、焚き火が弾ける音。空間に耳を澄ませば、上田さんのつくる世界に引き込まれる。これ以上贅沢な時間はないかもしれないと思わされた。

過ごしやすい季節には月に2~3回、各地のキャンプ場に足を運んでいるそうだが、焚き火を前に過ごす時間は、上田さんにとってもかけがえのないものだという。

「人と囲んでも楽しいですが、ひとりで焚き火を眺める時間はとても贅沢ですよね。仕事が忙しかったり、生活があわただしかったら考えられなかったことも、じっくり考えられます」

「夜に焚き火する時にはこれが手放せないですよ」と見せてくれたのはsnow peakのチタンスキットル。

「カタログでこの製品を見つけときには、すでに生産が終了していました。でもどうしても欲しかったので、インターネットで中古品の出品を待ち続けたんですよ。こういうのでちびちび飲むと、うまいんですよね。何も考えずにぼーっと火を眺めて、ウイスキーを舐める」

そういう時間を過ごせるのは、モノにこだわり、時間とお金をかけた人だけの特権だ。誰にでも手が届く体験のようにも思えるが、一朝一夕にはいかないというもの。

ローバーミニとキャンプにいく姿が浮かんだ

上田さんがキャンプを始めたのも、ローバーミニを買ったのも、2020年の出来事だった。趣味にのめり込んでいったスピードにも、的確に道具を集めていったセンスにも驚かされる。

上田「ちょうど癒しを求めていた時期ですから、自然の中で過ごす時間が欲しかったんだと思います。一気にのめり込んでいきました。もともと物にまつわるこだわりは強い方だと思います。ローバーミニに強く惹かれたのもそのためでしょうね」

初めてローバーミニに興味をもったのは、購入を決めるほんの少し前のことだという。以前から存在を知ってはいたものの、特に強く惹かれることはなかった。しかしキャンプをはじめてから、自分はどんなクルマに乗りたいのかを問い始めたのだそう。

上田さんは、ローバーミニを購入する前はSUVに乗っていた。クルマの買い替えに際して、たくさん荷物を積めるアメ車も含めて検討していた。

上田「大きなクルマは魅力的です。しかしよく考えれば、キャンプってそんなにたくさんのモノを使わないんですよね。厳選したものだけを持っていくなら積載量はいらない。だから小さいクルマでもいいなと。それから、せっかくなら走りも楽しめるようなクルマに乗ってみたいと思いました」

自身の中に生まれた新しい選考基準をもとにクルマについて考えた結果、ローバーミニという選択肢にたどり着いた。検討し始めてからショップに行くまでの時間はわずか1週間だったそう。「僕のなかでミニと一緒にキャンプに出かける理想図が浮かんだんです」と、当時のことを振り返る。

上田「まずは外観に惹きつけられました。丸い目が可愛いと思ったし、ボディ色もいろいろあっていいなって。自分のキャンプスタイルにあったボディ色はなんだろうと考えて、ホワイトに絞り込んだんです。それでローバーミニの専門店を探したら、Classcaのホームページにたどり着いて。YouTubeコンテンツを視聴して、心が決まりました。すぐにアポをとって、試乗させてもらったんです」

小型で馬力も少ないローバーミニは、一見アウトドアに向いたクルマではない。古いぶん壊れやすくもある。それでも、ローバーミニとキャンプに出かけようと思ったのは何故だったのだろうか。

上田「いつか走れない道が出てくるかもしれません。でも前もって下調べをすればいいだけのこと。古いから壊れやすいという情報はもちろん知っていました。でも実際に乗ってみないとわからないでしょう。あえてローバーミニを専門にしているClasscaで買ったのは、メンテナンスの安心感を求めてのことでした。あとは自分自身がちゃんと面倒見てあげれば長く乗れるだろうなと思います」

そうして納車されたローバーミニ。1998年に生産された、ローバーミニとPaul Smithのコラボレーションモデルである。お気に入りのポイントを語ってもらった。

上田「真正面から見た形ですね。小さくて綺麗にまとまった感じ、お尻がプリッとしてる感じが可愛い。オーバーフェンダーを後付けしたのでちょっとだけワイルドになりました。そういうところも好きです。それから走りが圧倒的に楽しいですね。SUVは快適でしたが、ただ運転しているだけという感覚でした。ミニだとエンジン音や振動がダイレクトに伝わってくるから、一緒に走っているという実感を持てる。それに、ピラーが日本車に比べて細いので死角がほとんどなく、景色がこれまでと違って見えます」

以前はドライブをする習慣がなかった上田さんだが、現在では目的地を決めない気ままなドライブにも積極的に出かけているそうだ。

ステアリングはNARDIのウッドに付け替え済みだ。ウッドの柔らかみと高級感で、クラッシックな雰囲気が一層強まっている。

上田「ウィンカーにクリック感があるところも好きです。カチカチっていう。最近の日本車だともっと滑らかだから、操作してる感覚を得づらいんですよね」

フロントグリルにはイギリスの国土を象ったエンブレムが付いていた。その上にはPaul Smithのエンブレム。

上田「このイギリスマークがあることも決め手の1つでした。ちょび髭みたいで可愛いですよね」

給油口にはユニオンジャックのフラップを取り付けた。ローバーミニの丸みを帯びたフォルムとよくマッチし、柔らかな表情を見せている。

最もお気に入りだというポイントは、下方へ開くトランク。市販のテーブルキットをアレンジしたものを取り付けている。

上田「ミニを買いたいと思ったきっかけでもあるのですが、こういう使い方をしている人がいることをブログで知りました。ここでお茶したりご飯食べたり出来る。自分もそれがやりたい!って思ったんです」

ビンテージっぽい風合いを出すために、天板はキズ加工を施した。試行錯誤で、描いた理想を実現させている。

理想のスタイルを形にする、イマジネーション

上田「ミニに詰め込める荷物は、天板のラックに載せた70リットルのケース2つを含め、大型SUVの2/3です。それでも、ミニとキャンプに来るようになってからはスタイルの幅が広がりました。ミニは男らしさもあるし、女性っぽさもあるから、どっちのスタイルに転んでも対応できる、モノを買い集める時の選択肢が広がったという感じです」

上田さんがキャンプ、ローバーミニ、と次々に趣味を乗りこなしていくエピソードは、終始スムーズだった。アニメに影響を受けて始めたキャンプは半年もかからずにスタイルを作り上げているし、キャンプのために新調したクルマを、これまたすごい速度で自分のスタイルに組み込んでしまった。

上田「いろいろイメージするのが好きなんだと思います。キャンプ用品の写真を見たら、俺だったらこれ、どこにおくだろうって考えたり。頭の中で組み立てて形にしていくのが得意なのかも」

理想のスタイルがあっても、それを現実に移すためには、お金や時間に加え、想像力が必要なのだろう。上田さんにはそれらに加え、実現させることへの強いこだわりがある。

上田「ミニはいつでも乗れるようなクルマではないと思うんです。例えば子供ができたりしたら不向きですよね。僕がミニに乗れるのは、今かおじいちゃんになったあと。それなら、なるべく早く乗っておきたい。理想を形にすると思い出になるじゃないですか。淡々と1日を過ごすのではなくて、思い出の積み重ねで生活を樹立させたい。これからも、クルマでもっと思い出を作りたいなと思っています。焼津のClassca Factoryにも年に2回くらいは遊びに行きたいな。メンテナンスもそうだけど、工場の皆さんと、大好きなミニの話をしたいです」

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