ローバーミニの「クーパー」と「メイフェア」の違いを徹底解説!
ローバーミニの中古市場に多く流通している「クーパー」と「メイフェア」
いま中古車市場で流通しているローバーミニの9割以上が1300ccモデルですが、中でも「クーパー」系と「メイフェア」系は台数が多いので、好みの1台が選びやすくなっています。
しかし、両グレードの違いがよく分からないため、どちらを選ぶべきか迷うという方もいると思いますので、今回はクーパー系とメイフェア系の内外装や装備の違いについて解説します。また、それ以外の様々なグレードについても紹介します。
クーパーとメイフェアの変遷について
クーパーは1961年にデビューし、1971年に「クーパー1275S」の生産終了をもって一旦消滅しましたが、1990年(日本発売は1991年)に1300ccキャブレターエンジン搭載の「クーパー1.3」として復活を果たしました。
その後、1992年にインジェクション化とともにグレード名が「クーパー1.3i」(MT仕様)及び「クーパー1.3i AUTO」(AT仕様)に変更され、1996年12月の一部改良で「クーパー」に統一されました。
一方、メイフェアは1000ccエンジン搭載の上級グレードとして1982年(日本発売は1983年)に登場し、1992年にパワートレインを1300ccインジェクション
マニュアル仕様の1.3i、オートマ仕様のメイフェア1.3AUTOに変更され、更に1996年12月の一部改良で、グレード名が「メイフェア」に統一されました。
今回比較するのは、インジェクション化された後のクーパー系とメイフェア系です。
エクステリア面では、クーパー系のみフロントフォグランプやボンネットストライプを装備
※写真はクーパー
クーパー系とメイフェア系は、ボディサイズや車両重量は同一でしたが、エクステリア面で多くの違いがありました。クーパー系にはフロントフォグランプ、クーパーエンブレム、ホワイトペイントルーフやボンネットクーパーストライプなどが備わっていたので、ひと目で識別できます。
また、ドアミラーはメイフェア系がボディと同色であったのに対し、クーパー系はホワイトのみでした。更にホイールも差別化が図られ、当初メイフェア系がスチールホイールに対し、クーパー系は専用デザインの8スポークアルミホイールを装着していました。
その後1996年2月の仕様変更で、メイフェア系のホイールがディッシュタイプのアルミホイールに変更になりました。
インテリア面では、クーパー系のみ本革シートを採用
※上の写真がクーパー、下の写真がメイフェア
インテリア面では、インパネのデザインは共通ですが、メーターはクーパー系のみグリーングラフィックを採用しています。また、ステアリングホイールは当初クーパー系が本革巻き、メイフェア系がウレタンという違いがあります。
シートは、当初クーパー系がレザーサイド+ライトニングクロス、メイフェア系がシェブロンクロスでした。また、クーパー系のみにスポーツタイプのアクセルペダルが装備されていました。
その後、クーパー系は1995年にウッドパネルが、1996年に本革シートが採用されました。一方メイフェア系は、1996年にクーパー系に1年遅れてウッドパネルが採用されたほか、ステアリングホイールが本革巻きに変更されました。
クーパー系とメイフェア系のメカニズムは、基本的に共通
インジェクション化された1992年以降のモデルは、MT仕様のクーパーが最高出力62ps/最大トルク9.6kgm、AT仕様のクーパーとメイフェアが最高出力53ps/最大トルク9.3kgmでした。
その他のメカニズムは、サスペンションのセッティングやステアリングレシオなどはクーパー系もメイフェア系も共通です。
カーオーディオシステムは、当初クーパー系のみに標準装備
カーオーディオシステム(FM/AM電子チューナーカセットオーディオ)は当初クーパー系のみに標準装備され、メイフェア系はオプションでした。しかし、1996年12月の一部改良の際にメイフェアにも標準化され、快適装備面での差はなくなりました。
クーパーとメイフェア以外にも、上級グレードのケンジントンや様々な限定車が存在
インジェクションモデルのローバーミニには、クーパー系とメイフェア系以外にもカタロググレードや特別仕様車が設定されていました。1992年に発売された当時には、メイフェアより安価な「1.3」及び「1.3AUTO」が設定されていましたが、2年ほどで廃止されました。
その後1995年に、タータンチェックのシート表皮やトリムを採用すると同時に、カタログモデルに先駆けてエアコンを標準装備した「タータン」「タータンAUTO」が発売されました。更に1996年2月には、クーパー系よりも一足早く本革シートを採用した上級グレード「ケンジントン1.3i AUTO」が追加されました。
カタロググレードの追加はこれが最後で、その後は限定車が続々とリリースされました。まず1996年6月に、4連フォグランプやエアコン、本革シートが備わるミニ誕生35周年記念モデル「35thアニバーサリー」「35thアニバーサリーAUTO」を発売。
そして1998年には、大型オーバーフェンダーや175/50VR13タイヤ、コニー製ショックアブソーバーを装着する「クーパースポーツパック・リミテッド」、イギリスの著名デザイナー、ポール・スミスが内外装をコーディネートした「ポールスミス」、クーパースポーツパック・リミテッドに準じた装備を持つ「クーパーBSCCリミテッド」が発売されました。
※上の写真はクーパースポーツパック・リミテッド、下の写真はクーパーBSCCリミテッド
翌年1999年、ローバーミニ誕生40周年を記念した2種類の限定モデルが発売されました。ひとつは、メイフェアをベースに本革シートやCDオーディオなどを装備した「40thアニバーサリー・リミテッド」、もうひとつは、クーパーをベースに大型オーバーフェンダーや175/50VR13タイヤ、KONI製ショックアブソーバー、CDオーディオなどを装備した「クーパー40th アニバーサリー」です。
※写真はクーパー40th アニバーサリー
正規輸入されたローバーミニの限定車はこの2タイプが最後でしたが、2000年以降に「ラストミニ」と呼ばれる英国仕様の限定車が少数ながら並行輸入されました。ラインナップは、お馴染みの「クーパー」と日本向け限定車「クーパースポーツパック・リミテッド」に準じた装備を持つ「クーパースポーツパック」、往年のオースチン・セブンをモチーフにした「セブン」、ローズウッドのインパネや6連メーターなどが備わる豪華版「ナイツブリッジ」の4タイプがありました。
※写真はナイツブリッジ
マルチポイント・インジェクション仕様のエンジン、フロントに移動したラジエター、ハイギアードなトランスミッション、吊り下げ式のエアコンなど、日本向け正規モデルとは異なる仕様でした。
走行性能や快適性、安全装備に差がないクーパーとメイフェア
クーパー系とメイフェア系の仕様の違いや、それ以外のグレードについて紹介してきました。どのグレードを選ぶべきかについてですが、クーパー系とメイフェア系では走行性能や快適性、安全装備などに差はないので、内外装の好みでどちらを選んでも良いでしょう。
一方、各種の特別仕様車は、内外装や装備面でカタロググレードと差別化されている点が魅力です。中古車の台数は少なく、出会えた時はラッキーと言えます。