ミニの各エンジンスペックを徹底解説!

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ミニモンテカルロ_フロント

ミニの約40年に及ぶ歴史で、搭載されていたエンジンはデビュー当初から一貫して「BMC Aタイプ」と呼ばれる、鋳鉄製ブロックを持つ水冷直4OHVユニットでした。
その長いキャリアの中でさまざまな排気量とチューニングのユニットが存在していました。
今回は、ミニに搭載されたエンジンの種類と、そのスペックについて解説します。

ミニ ベーシックモデルのエンジン種類

ミニには、大きく分けてベーシックモデルと高性能版の「クーパー」系モデル、そしてターボエンジン搭載の「ERAターボ」がありましたが、まずはベーシックモデルのエンジンの種類について解説していきます。

848ccユニット(1959年~1979年)

1959年8月にデビューした最初のモデル、「オースチン・セブン/モーリス・ミニマイナー」に搭載されたエンジンは8MB型と呼ばれるもので、排気量は848ccでした。ボア・ストロークは62.94mm×62.28mmのほぼスクエアストローク型で、8.3:1の圧縮比と1基のSU HS2キャブレターにより最高出力34ps/5,500rpm・最大トルク6.08kgm/2,900rpmを発生しました。
その後、1965年10月に追加されたオートマ車には、圧縮比を9.0:1まで高め、最高出力を39ps/5,500rpmまで向上させたエンジンを搭載。1979年8月に、848ccエンジンは廃止されました。

998ccユニット(1967年~1992年)

1967年10月に「Mk-2」シリーズに移行すると同時に、ボア・ストロークを64.58mm×76.2mmに変更し排気量を998ccに拡大した9FA型エンジンを追加しました。9.0:1の圧縮比と1基のSU HSキャブレターから最高出力38ps/5,250rpm・最大トルク7.2kgm/2,700rpmを発生。848ccユニットからトルクが大幅に向上。
1992年3月、1,271ccエンジンに切り替えられ生産終了となりました。3元触媒が備わる日本向け最終型のスペックは、最高出力42ps/5,250rpm・最大トルク6.8kgm/2,600rpmでした。

1,271ccユニット(1992年~2000年)

ボア・ストロークは70.6mm×81.2mmで、9.4:1の圧縮比と電子燃料噴射装置により最高出力53ps/5,000rpm・最大トルク9.3kgm/2,600rpmを発生。1996年12月に、マニュアル車のエンジンが「クーパー」と共通の高出力版(最高出力62ps/5,700rpm・最大トルク9.6kgm/3,900rpm)に変更され、2000年10月にミニは生産終了となりました。

ミニ クーパーモデルのエンジン種類

続いて、高性能版として誕生したクーパーモデルのエンジンについて解説します。

997ccユニット(1961年~1963年)

1961年10月に、最初のクーパーが登場しました。9F型エンジンのボアストローク62.43mm×81.28mmのロングストローク型で、排気量997cc、圧縮比9.0:1、2基のSU HS2キャブレターにより、ベーシックモデル用の8MB型よりも21ps/1.38kgm高い最高出力55ps/6,000rpm・最大トルク7.46kgm/3,600rpmを発生。高回転型ながらも、フラットトルクで扱いやすいエンジンでした。

998ccユニット(1964年~1969年)

1964年1月、クーパーのエンジンはそれまでとはボア・ストロークが異なる9FA型に変更しました。64.58mm×76.2mmと9F型よりもショートストローク化されましたが、9.0:1の圧縮比や2基のSU HSキャブレターに変更はなく、最高出力55ps/5,800rpm・最大トルク7.88kgm/3,000rpmで、9F型から発生回転数が下げられると同時にトルクが太くなり、市街地での扱いやすさが更に向上しました。このエンジンは1969年11月まで生産が続けられました。

1,071ccユニット(1963年~1964年)

1963年3月、1,100ccクラスのレースに参戦するために、クーパーからさらなる高性能化を図った「クーパーS」を発表。搭載したエンジンはボア・ストローク70.64mm×68.26mmというオーバースクエア型の10F型で、排気量は1,071ccでした。
9.0:1の圧縮比や2基のSU HSキャブレターが備わる点はクーパー用の9F型エンジンと同様ながら、スペックは最高出力70ps/6,000rpm・最大トルク8.58kgm/4,500rpmへと大幅な向上が図られていましたが、1964年8月に廃止されました。

970ccユニット(1964年~1965年)

クーパーSのデビューから遅れること1年後の1964年3月、排気量を970ccに縮小したエンジンを搭載する「クーパー970S」を発売。ボア・ストロークは70.64mm×61.91mmで、9.75:1まで高められた圧縮比と2基のSU HSキャブレターにより最高出力65ps/6,000rpm・最大トルク7.6kgm/3,500rpmを発生しました。
このエンジンは、歴代クーパーSの中でもっともピーキーな性格を持っていました。このモデルは生産期間が非常に短く、翌年の1965年1月に廃止となりました。

1,275ccユニット(1964年~1971年)

1,275ccエンジンを搭載する「クーパー1275S」は、歴代クーパーモデル最強のモデルとしてクーパー970Sとともに1964年3月にデビューしました。エンジンは、1,071cc版クーパーS用の10F型をベースにストロークを81.33mmまで拡大したもので、9.5:1の圧縮比と2基のSU HSキャブレターにより最高出力76ps/5,800rpm・最大トルク10.92kgm/3,000rpmを発揮。
クーパー1275Sは、他のクーパーモデルが廃止された後も生産が続けられたものの、排出ガス規制の強化など環境の変化に対応することができなくなり、1971年7月に生産終了となりました。

1,271ccユニット(1990年~2000年)

1990年10月に、クーパーモデルが「ローバーミニクーパー1.3」として19年ぶりに復活を遂げました。エンジンは「メトロ」譲りの1,271ccで、9.6:1の圧縮比と1基のSU-HIF44キャブレターにより最高出力61ps/5,550rpm・最大トルク9.2kgm/3,000rpmを発生しました。
1992年3月に、キャブレターからインジェクションが採用され、スペックはマニュアル車用が最高出力62ps/5,700rpm・最大トルク9.6kgm/3,900rpm、オートマ車用が最高出力53ps/5,000rpm・最大トルク9.3kgm/2,600rpmでした。

そして、ベーシックモデルと同時に、2000年10月に生産終了となりました。

ローバーミニERAターボのエンジン

最後に、ターボエンジン搭載の異端児「ERAターボ」のエンジンについて解説します。デビューは1990年10月で、エンジンはクーパー1.3と共通の1,271ccユニットにギャレットT3ターボチャージャーを装着したもので、9.4:1の圧縮比と1基のSUキャブレターにより最高出力95ps/6,130rpm・最大トルク12.0kgm/3,600rpmを発生しました。

このスペックは、BMC/BLMC/BL/ローバー純正のミニとしては最強でした。
生産期間は短く、2年後の1992年には廃止となりました。

まとめ

ミニには、多くの種類のエンジンがあります。しかし、これらの中で現在も1980年代以降の998ccシングルキャブレターエンジン搭載モデルと、1990年代以降の1,271ccエンジン搭載モデルは、現在、中古車市場で流通している多くのモデルとなります。

1960~1970年代のクーパーモデルやERAターボは、希少モデルのため、
市場に出回ることはあまりないので、見つけることができたなら、ラッキーと言えるでしょう。

また、1997年、日本では最後まで正規輸入されませんでしたが、マルチポイントインジェクションと同時点火方式を装着したラストミニが存在します。

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