ミニのキャブレター車とインジェクション車の違いとは?それぞれの魅力を解説!

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ミニのエンジン燃料噴射方式の種別で分けると、キャブレター車とインジェクション車の2タイプがあります。
今回は、キャブレター車とインジェクション車の違いや、それぞれの魅力のポイントについて解説します。

ミニのキャブレター車について

まずは、ミニのキャブレター車について、「歴史」と「特徴」の二つの観点から解説していきます。

キャブレター車の歴史

ミニは1959年に「オースチン・セブン/モーリス・ミニマイナー」の車名でデビューを飾りましたが、当初搭載されたエンジンは、水冷848cc直4OHVのSUシングルキャブレター仕様でした。

その後、高性能版として、1961年に排気量を997ccに拡大するとともにSUツインキャブレターを装着した「クーパー」が、さらに1963年には、1,071cc・SUツインキャブレター仕様エンジンを搭載する「クーパーS」が追加されました。1964年、クーパーのエンジンがそれまでとはボア・ストロークの異なる998cc・SUツインキャブレター仕様に変更されたほか、970cc・SUツインキャブレター仕様エンジンを搭載する「クーパー970S」と、1275cc・SUツインキャブレター仕様エンジンを搭載する「クーパー1275S」を追加。
一方、長らく848ccエンジンのみのラインナップだった標準モデルは、1967年に998cc・SUシングルキャブレター仕様エンジン搭載車を追加。その後、1971年をもってクーパー・シリーズは一旦生産終了となったものの、1990年に1271cc・SUシングルキャブレター仕様エンジンを搭載する「クーパー1.3」として復活を遂げました。

1991年にミニ・シリーズ全車のエンジンが1271cc・インジェクション仕様に一本化され、ミニのキャブレター車は32年に及ぶ歴史に幕を下ろしました。
ミニのキャブレター車の詳細な変遷とスペックは、以下のとおりになります。

発売年 モデル名 排気量(cc) キャブレター 最高出力(ps/rpm) 最大トルク(kgm/rpm)
1959 オースチン・セブン/モーリス・ミニマイナー 848 SU HS2×1 34/5500 6.08/2900
1961 ミニ・クーパー1000(997) 997 SU HS2×2 54/5700 7.54/3600
1963 ミニ・クーパー1071S 1071 SU HS2×2 68/5750 8.6/4500
1964 ミニ・クーパー1000(998) 998 SU HS2×2 55/5800 7.9/3000
1964 ミニ・クーパー970S 970 SU HS2×2 65/6500 7.6/3500
1964 ミニ・クーパー1275S 1275 SU HS2×2 75/5800 11.1/3000
1964 ミニ850マークⅠ 997 SU HS2×1 39/5500 6.08/2900
1967 ミニ1000マークⅡ 998 SU HS2×1 38/5250 7.2/2700
1967 ミニ・クーパー1275SマークⅡ 1275 SU HS2×2 76/6000 10.9/3000
1980 ミニ1000HL 998 SU HS2×1 39/4750 7.1/2000
1984 ミニ・メイフェア 998 SU HS2×1 46/5250 6.8/2600
1990 ミニ・クーパー1.3 1271 SU HIF44×1 61/5550 9.2/3000

キャブレター車の特徴

キャブレター車の特徴について解説します。キャブレターはガソリンと空気をミックスして混合気を作り、エンジン内部に送り込む装置ですが、動力に頼らずエンジンが空気を吸い込む力を利用しています。
インジェクションと比べると構造がシンプルで、メンテナンスが容易に行える点がメリットです。また、キャブレターには様々な種類がありますが、ミニに採用されているSUキャブレターは他のタイプと比べても部品点数が少なく、動作の安定性が優れています。
キャブレター車で問題になりがちな寒冷期の始動性も比較的良好で、夏場に発生するパーコレーションと呼ばれるエンジン不調の原因になる現象も起きにくくなっています。キャブレター車、最大の魅力は、エンジン回転が上がるに従ってパワーが盛り上がるフィーリングが味わえます。

メンテナンスの面では、万が一キャブレターの調子が悪くなったとしても、メカの知識と工具があれば自分で調整することも可能です。ただ、ツインキャブレター仕様の古いクーパー系モデルの場合、2基のキャブレターを同じ状態に調整するには、かなりの手間とそれなりの経験を要します。
また、インジェクションと比べた場合は、動作が気温や湿度などの影響を受ける欠点があるほか、燃費性能の点でもやや劣ります。

ミニのインジェクション車について

ローバーミニ_モンテカルロ_エンジン

ミニのインジェクション車について、同じように「歴史」と「特徴」の観点から解説します。

インジェクション車の歴史

「キャブレター車の歴史」の項目でも触れましたが、ミニのインジェクション車は1991年に登場しました。日本市場に導入されたのは翌1992年からで、2001年まで販売されました。

デビュー当初のインジェクション車はシングルポイントインジェクションが基本で、1997年のエンジン改良時にマルチポイントインジェクションが導入されました。

発売年 モデル名 排気量(cc) キャブレター 最高出力(ps/rpm) 最大トルク(kgm/rpm)
1991 ミニ1.3 1271 電子制御式インジェクション 53/5000 9.3/2600
1991 ミニ・クーパー1.3i 1271 電子制御式インジェクション 62/5700 9.6/3900

インジェクション車の特徴

インジェクション車の特徴について解説します。ミニに採用されているインジェクションは、コンピューターの演算により噴射量を調整しています。

キャブレターと比較すると、気温や湿度などに左右されず常に安定した動作が行えるメリットがあるほか、燃焼効率も優れています。出力の面でも、キャブレター仕様の「ミニ・クーパー1.3」とインジェクション仕様の「ミニ・クーパー1.3i」を比較すると、ミニ・クーパー1.3iの方が最高出力で1ps、最大トルクで0.4kgm勝っています。

実際に運転してもミニ・クーパー1.3iの方が低中速トルクは太く、加速性能や扱いやすさの点で優れています。また、燃費性能が優れているのもインジェクションモデルの特徴で、カタログ燃費はミニ・クーパー1.3の13.0km/Lに対し、ミニ・クーパー1.3iは13.4km/Lと0.4km/L上回っています。さらに、始動性においても優れています。

一方で、インジェクションはキャブレターよりも構造が複雑で、かつブラックボックス化されている特徴があります。キャブレターのように定期的なメンテナンスの必要はありませんが、万が一不調に陥ったときには車両診断機が必要になります。そのため、ユーザーが自分でメンテナンスを行うのは非常に困難です。

まとめ

最後に、キャブレター車とインジェクション車のそれぞれの魅力のポイントをまとめてみました。

キャブレター車の魅力のポイント

  • メンテナンスが容易
  • 独特なドライビングが味わえる
  • マニアックなビンテージモデルを選べる

インジェクション車の魅力のポイント

  • 動作の安定性が高い
  • 低中速トルクが太く乗りやすい
  • 燃費や始動性が良い

中古車市場に出回っている台数の面では、ローバー時代のインジェクション車が多数を占めています。一方、キャブレター車はローバー時代のモデルも決して数が多いとは言えず、オースチン/モーリス時代のモデルともなると希少車になります。

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